日別アーカイブ: 2017年5月16日

神の手をもつ医者(医療従事者)はいるのか?

とても納得する点があります!
医学とは魔法でも、神がかりでもなく、
現代の人類が導き出した科学です!
ですので、もちろんそれが全て!ではありません。
その中で、最新の情報、自らの経験知、スキル等は常に
向上させていき、当たり前のことを当たり前でないレベルで
行えるのが素晴らしい医療従事者ではないでしょうか?
周囲に持ち上げられた、「ゴッドハンド」はたくさんいますが、
見極めはそう呼ばれている!ではないのが現状です!
以下 yahooニュースの記事より
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170515-00010000-yomidr-sctch&p=4
小児外科医 松永正訓

 先日、私のクリニックを受診した3歳の女の子は、昨夜から強い腹痛と嘔吐(おうと) があるといいます。よくある胃腸炎かと思い、ベッドに横になってもらいお 腹(なか) を触診したところ、上腹部の腹壁に強い緊張があります。私は「これは少し変だ」と思って超音波検査を行うと、肝臓のすぐ下に大きな 嚢胞(のうほう) (水分がたまった袋の構造)が映りました。この病気はおそらく先天性胆道拡張症です。 膵臓(すいぞう) と十二指腸をつなぐ管、ならびに、肝臓と十二指腸をつなぐ管に先天的な奇形がある病気です。持続する強い腹痛の原因になります。

私はお母さまに病気の説明をして、大きな病院に紹介状を書きました。この病気の手術は大変複雑な手技を要することを説明すると、お母さまは不安な瞳を大きく開き、 訊(たず) ねてきました。

「手術、うまくいきますよね? 失敗しないですよね?」

私はとっさにはうまく返答することができませんでした。患者家族の立場からすれば、少しでも腕のいい外科医に手術してほしいところでしょう。失敗など、決してしてほしくないでしょう。だけど、いい外科医とは、一体どういう外科医を言うのでしょうか? そして、手術の失敗とは果たしてどういうことを言うのでしょうか?

神の手を持つ外科医

 手術の腕が優れた外科医を神の手を持った外科医などと言いますが、そんな医者は実際にいるのでしょうか? そんな外科医はいないとも言えるし、どこにでもいると言えます。私はこれまでに、自分の母校に関係するたくさんの外科医の手術を見てきました。また、他大学の先生の手術を生で見たり、学会発表のビデオで見たりもしました。ですが、「この人の手術は神業だな」などと思ったことは一度もありません。

手術というのは、やるべきことをただひたすら高度な集中力を持ってやり抜くことのみであると言えます。若いうちは、その手さばきがつたないかもしれません。ですが、10年、15年と時間をかけて修練を積めば、誰でも必ず手技が一定のレベルに到達します。

外科医をやっていると「手先が器用なんですね?」と言われることがよくありますが、手先の器用さと手術のうまさは関係ありません。ちょっと逆説的な説明ですが、どんなに手先が器用な人でも、最初から手術がうまいなどということは100%あり得ません。手先の器用さで手術がつとまるかというと、外科はそんな甘い世界ではありません。

考えても見て下さい。日本人で、箸を使ってお米を摘(つま) めない人ってまずいませんよね? しかし、この動作は、欧米人から見ると大変な驚きになります。それは単に経験の違いです。10年以上、毎日箸を使い続ければ、誰でも米を摘めるようになるわけです。乱暴な例えかもしれませんが、手術とはそういうものです。そういう意味で言うと、神の手を持つ外科医などいないということになります

その一方で、神の手を持つ外科医なんて、どこにもウジャウジャいるとも言えます。ほら、よくメディアに登場しますよね? 神の手を持った外科医。こういう名称は、周囲の人間が当人をおだてて言っているだけであって、自分のことを神の手を持っているなどと言い出すならばその人はちょっと誇大妄想です。

外科の道を究めようとする人は、いえ、外科の世界に限らず自分の技術を高めようと志す人は謙虚なものです。自分で自分を神などと言うはずがありません。

しかしながら、どうも世の中には神の手を持った医者が満ちあふれています。メディアで取り上げられて神の手などと呼ばれた場合は、「それは違います」と否定するくらいのつつましさがあってもいいのではないでしょうか。

手術の上達とは経験に尽きます。朝日新聞出版は毎年「いい病院ランキング」というムックを発売していますが、この「いい病院」という判断基準は「手術の数」です。私はこのムックに全面的に賛成するわけではありませんが、ほぼ当たっていると思います。研修医の段階では誰もが並の手の外科医です。それが修練を積み重ね、次第に熟練の技を獲得していくのです。ゴールはありませんから、神の領域もありません。

たかが鼠経ヘルニアだが

 大人の外科医は、毎日のように胃がんや大腸がん、それから胆石の手術をしています。一方、小児外科医は 鼠径(そけい) ヘルニア(脱腸)の手術を行っています。鼠径ヘルニアとは、脚の付け根(鼠径部と言います)に、腸を包んでいる腹膜がポケット状に飛び出してきて、そのポケット内に腸がはみ出てしまう病気です。

手術は下腹部に2~3センチの小切開を加えて、奥からヘルニアの袋(腹膜のこと)を摘み出し、腸が出てこないように根元で縛るのです。私はこの手術を4分で終了させたことがあります。手術自体が簡単だから? いえ、ちょっと違うんです。

日本小児外科学会のホームページを見ると、2005年2月に起きた医療事故のことが書かれています。執刀したのは、小児外科の専門医ではないようです。その外科医は、1歳の子どもに鼠径ヘルニアの手術を行い、奥からヘルニアの袋を引っ張り出しました。ところが、それはヘルニアの袋ではなく、 膀胱(ぼうこう) だったのです。ここで気付けばよかったのですが、外科医はそれがヘルニアの袋だと思い込み、膀胱の根元を縛って大半を切除してしまったのです。

この医療過誤は、まったく言い逃れできません。あってはならないことです。つまり、手術は「失敗した」という結果に終わったのです。

なぜ、こういうことが起きたのでしょうか? まず、小児の鼠径ヘルニアの手術は手術の傷が大変小さいために、奥をよく見ることができません。組織は 脆(もろ) く、弱く、ヘルニアの袋に向かって数ミリたがわず正確に深く進んでいかないと、全然違った方向に向かってしまいます。このケースでは、その向かった先が膀胱だったわけです。

そして、その外科医は子どもの鼠径ヘルニアに精通していなかったため、膀胱を見てもヘルニアの袋と区別が付かなかった。後は思い込みで膀胱をざっくりと切り取ってしまったのです。小児の鼠径ヘルニアは、決して簡単な手術ではありません。

では、私はなぜ4分という短時間で手術ができたのでしょうか? それはその時、勤務していた病院が少人数の小児外科医で手術をやっていたからです。その病院では、3人の小児外科医が1年間に200件以上の鼠径ヘルニアを手術します。手術をするメンバーは固定されていますから、術者が「こう」すれば、助手は「ああ」するというように、すべての流れが決まっています。一々相談したり、「ああしてください」とか「こうしてください」と言葉をかけ合ったりしません。そういう手術を1年間続け、数もたくさん経験すると、手術が自然と速くなっていきます。だから4分で終了したのです。私の手術がうまいわけではありません。もちろん神の手ではありません。並の手です。手術とは経験であり、数なのです。

なお、4分という数字だけが読者の頭に残るのはいいことではないので、私の経験で最も時間がかかった鼠径ヘルニアの手術も書いておきます。それは50分です。ヘルニアの袋が極めて薄く、ヘルニアの袋と一緒に腹の中の腹膜まで裂けていきそうな症例でした。汗だくになって手術を終えたことをよく覚えています。「これは1時間半くらいかかったかな」と思って壁の時計を見たら50分でした

「私、失敗しないので」という決めぜりふを口にするフリーの外科医を描いたテレビドラマが人気だそうです。架空のドラマに対してムキになっても仕方ありませんが、絶対に失敗しない外科医は本当に存在するのでしょうか?

まず、そもそも失敗とは何かという問題があります。先に述べた膀胱を切除してしまった鼠径ヘルニアの手術は、医療ミスであることは間違いありません。また外科の世界では、平成11年1月11日に起きた医療ミスはいまだに外科関係の医療者に教訓として残っています。それは、横浜市立大学医学部附属病院で起きたミスです。心臓疾患の患者さんと肺疾患の患者さんを取り違えて、本来行うべき手術を相互に誤って手術してしまったのです。患者確認を行わなかったことによる医療過誤です。

一方、全然別なものとして、手術にはある一定の確率で合併症が起こります。これはミスではありません。たとえば、腸と腸を縫い合わせます。すると術後に腸と腸がくっ付いて腸液は漏れることはありません。なぜ、付くのでしょうか? 縫ったから? いえ、違います。縫うということは、腸と腸の断面をぴったりと寄せることです。すると人間の自然治癒力によって腸同士がつながるのです。

ところが、腸の接合面で感染が起きたり、患者の自然治癒力が弱まっていたりすると、縫った所から腸液が漏れます(これを縫合不全と言います)。漏れれば腹膜炎になります。こうしたことは、どれだけ正しい手順できちんと接合面を合わせても、少ない確率ではあれ、完璧に避けることはできないのです。正しいことをやっても、患者に不具合が起きる。これが合併症です。

外科医であれば、合併症を経験したことのない医師は一人もいないはずです。もしいるとすれば、それは名医ではなくて、手術を数回しか経験したことのない研修医です。そして腕のいい外科医とは、合併症に対して正しい処置が取れる医師を言うのです。

テレビドラマの外科医が「失敗しないので」と言うならば、もし合併症を起こしてしまった場合に、その処置方法を知らないということになります。合併症が起きたということは事態がこじれたということですから、場合によっては術前より複雑な手術や処置が必要かもしれません。そうした時に何もできなくていいはずがありません。合併症に対応できない外科医は名医とは言えません。あ、ちょっとムキになってしまいましたね。

従って、手術室から出てきた外科医が家族に向かって、「手術は成功しました!」と宣言することは絶対にありません。あれは、ドラマの中だけの決めぜりふです。手術の合併症が起こるかどうかは、手術が終わって1週間くらい 経(た) たないとわかりません。患者家族はその間、不安でいっぱいかもしれませんが、それは医者も同様です。合併症が起きた時の外科医の 辛(つら) さは筆舌に尽くしがたいものがあります。

私は、国際学会で発表を直前に控えたタイミングで、「患者が縫合不全を起こした」という連絡を病院からもらった経験があります。ただでさえ、国際学会の舞台で発表をするという緊張感の中にいたのにそういった連絡をもらい、昼食が一口も喉を通りませんでした。

医療とは祈りである、という言葉があります。医師が最善を尽くしたら、あとは祈るしかないのです。それは、患者家族も医師も同じということでしょう。「今晩が山です」などという安易な言葉を使う医師もいません。容体が回復するまで幾晩でも粘り強く患者を見守り続けるのが、あるべき医師の姿です。

最後に、近代外科学の祖と呼ばれる16世紀の外科医、アンブロワーズ・パレの言葉を紹介しましょう。

“われ、包帯す、神、 癒(いや) し 賜(たま) う”

本当にそう思います。パレは治療を施した後、患者が治るように夜通し祈ったそうです。「私、失敗しないので」とは言わなかったのではないでしょうか?

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