■はじめに
交通事故が起きたとき、加害者・被害者のどちらの立場になっても避けて通れないのが「賠償責任」です。ニュースなどで「高額な損害賠償が発生した」という話を耳にすることもありますが、実際にはどの範囲まで責任を負う必要があるのか、正確に理解している人は少ないのが現実です。この記事では、交通事故後に発生する賠償責任の基本と、どこまでの範囲を負担しなければならないのかを分かりやすく解説します。
■交通事故における賠償責任の基本構造
交通事故が発生すると、加害者は被害者に対して「損害を賠償する義務」を負います。これは民法709条の「不法行為責任」に基づくもので、被害者が受けた損害を金銭的に補う責任が生じます。
この賠償責任は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 人身損害(けが・後遺障害・死亡)
- 物損(車両・建物・持ち物などの損壊)
- 精神的損害(慰謝料など)
さらに、交通事故には「加害者本人の過失」だけでなく、「運転者が他人の車を借りていた」「雇用関係にあった」など、複数の責任主体が関わる場合もあります。
■賠償の範囲 ― どこまで負うべきか
① 治療費・通院交通費
被害者がけがをした場合、治療にかかる費用はすべて賠償の対象です。病院代だけでなく、リハビリ費用、通院時の交通費、薬代も含まれます。
② 休業損害
事故によって働けなくなった期間の収入減少も補償されます。サラリーマンの場合は給与明細から算出され、自営業者やフリーランスの場合は確定申告書などで証明します。
③ 後遺障害による逸失利益
後遺症が残った場合、将来的に失われる収入の一部を「逸失利益」として請求できます。これは後遺障害等級によって金額が大きく変わるため、正確な認定が重要です。
④ 物損(車両や持ち物の修理費)
車の修理費用はもちろん、破損したスマートフォン、時計、眼鏡なども賠償対象になります。ただし、修理費が車の時価額を超える場合は「全損扱い」となり、時価額を上限として補償されます。
⑤ 慰謝料
精神的な苦痛に対する賠償が「慰謝料」です。通院日数や入院期間、後遺障害の等級によって金額が決定されます。死亡事故の場合は、遺族にも慰謝料が支払われます。
■過失割合がカギ ― 責任は「割合」で決まる
交通事故では、どちらがどれだけ悪いかという「過失割合」によって、賠償額が変わります。
 たとえば、双方が交差点で青信号を無視した場合、過失割合が50:50になることもあります。
仮に被害者側にも30%の過失があるとすれば、加害者は被害額の70%を支払えばよいという計算になります。つまり、事故の状況によって責任の範囲は大きく変動するということです。
過失割合は警察の実況見分や保険会社の基準をもとに算定されますが、不服がある場合は弁護士を通じて交渉・調整することが可能です。
■保険でどこまでカバーできるのか
加害者が賠償責任をすべて自己負担するのは現実的ではありません。そのため、ほとんどのドライバーは「自賠責保険」と「任意保険」の2種類に加入しています。
自賠責保険(強制保険)
人身事故のみを補償する保険で、物損には使えません。上限額が決まっており、
- 傷害:最大120万円
- 後遺障害:最大4000万円(等級による)
- 死亡:最大3000万円
 が支払われます。
任意保険
自賠責でカバーできない部分を補う保険です。対人・対物・自損・搭乗者傷害など、補償範囲を自由に設定できます。特に「対人賠償保険」と「対物賠償保険」は無制限にしておくのが理想です。
■「使用者責任」や「運行供用者責任」にも注意
交通事故では、実際に運転していない人にも責任が及ぶことがあります。
- 使用者責任(民法715条):社員が業務中に起こした事故は、会社(使用者)にも賠償責任が生じる。
- 運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条):車の所有者や実質的な使用者が事故に関与していた場合、運転者と同等の責任を負うことがある。
つまり、「人に車を貸しただけ」「社員が運転していた」場合でも、一定の責任を問われる可能性があるのです。
■賠償トラブルを防ぐための3つのポイント
- 事故直後の証拠を確保する
 ドライブレコーダー映像、現場写真、目撃者の連絡先などは、過失割合の判断に直結します。
- 治療経過をきちんと記録する
 通院日数や症状の推移を示す診断書・レセプトは慰謝料や後遺障害認定の根拠になります。
- 保険会社任せにしない
 保険会社は支払額を抑える傾向があるため、納得できない場合は弁護士や交通事故専門の相談窓口を利用しましょう。
■まとめ
交通事故後の賠償責任は、「どこまで負うべきか」を明確に理解しておくことで、不要なトラブルを避けることができます。
- 賠償責任には、人身・物損・慰謝料など多岐にわたる項目がある
- 過失割合によって負担額が変わる
- 自賠責保険と任意保険の併用でリスクを軽減できる
- 使用者や車の所有者にも責任が及ぶ場合がある
万が一の事故に備えるには、保険の内容を見直すだけでなく、日常的に安全運転を心がけることが何よりの予防策です。交通事故は一瞬で起こりますが、その後の責任は長く続くことを忘れてはいけません。
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