交通事故に遭い、後遺障害が残ってしまった場合、被害者は「後遺障害慰謝料」だけでなく、「逸失利益(いっしつりえき)」という損害も請求できる可能性があります。
 しかし、この「逸失利益」という言葉は聞き慣れず、「どんなお金なの?」「どうやって計算するの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
 ここでは、交通事故被害者が知っておくべき“逸失利益”の仕組みと、請求のポイントをわかりやすく解説します。
■ 逸失利益とは? ― 将来得られたはずの収入の補償
逸失利益とは、事故に遭わなければ得られたはずの「将来の収入」のことです。
 たとえば、交通事故で手足の機能を失ったり、視力や聴力を失ったりすると、今までのように働けなくなり、収入が減ってしまうことがあります。
 この「将来にわたって失う収入分」を金銭で補償するのが“逸失利益”です。
つまり、後遺障害の影響によって「働く能力=労働能力」が低下した場合、その低下分に応じた補償を受けることができます。
■ 逸失利益の計算方法
逸失利益の算出は、次の基本式で求めます。
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
※ライプニッツ係数は、将来にわたって分割で支払われるべき損害賠償金(後遺症による逸失利益や死亡逸失利益など)を一括で受け取る場合、本来発生するはずの利息分を差し引くために使われます。まとめて受けとったときに被害者が得をしないようにするための係数
それぞれの要素を見ていきましょう。
① 基礎収入
基礎収入とは、被害者が事故前に得ていた収入を基準に計算します。
 給与所得者であれば、事故前の年収(源泉徴収票などで確認)を用い、専業主婦や学生など収入がない場合でも、「賃金センサス」という公的統計データを参考に収入を推定することができます。
たとえば、専業主婦でも「家事労働」という経済的価値を持つため、逸失利益を請求できるのです。
② 労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、「後遺障害の程度により、どの程度働く能力が失われたか」を示す割合です。
 これは、後遺障害等級によって目安が定められています。
例として、
- 1級:100%(完全に働けない)
 - 5級:79%
 - 9級:35%
 - 12級:14%
 - 14級:5%
というように、等級が低くなるほど喪失率も小さくなります。 
ただし、これはあくまで目安であり、実際の労働状況や職種によって、裁判などで増減されることもあります。
③ 労働能力喪失期間とライプニッツ係数
労働能力喪失期間とは、「どのくらいの期間、能力が失われるか」を指します。
 例えば、恒久的な障害なら“67歳まで”とするのが一般的で、年齢によって期間が変わります。
一方のライプニッツ係数とは、将来の収入を「現在価値」に換算するための数値です。
 将来の金額をそのまま足してしまうと過大評価になるため、一定の割引計算を行うのです。
 これは専門的な計算ですが、弁護士や保険会社が事故被害者に代わって行うのが通常です。
■ 逸失利益が認められるための条件
逸失利益は、「後遺障害等級認定」を受けて初めて請求できます。
 単に「体に不調が残っている」と申し立てるだけでは認められません。
 自賠責保険の後遺障害認定手続を経て、等級(1〜14級)が認定される必要があります。
さらに、以下の条件が重要です。
- 後遺障害と事故との間に「因果関係」があること
 - その障害が「将来的にも回復しない」と医学的に判断されていること
 - 事故前後の収入差が明確に立証できること
 
これらを満たすことで、初めて逸失利益が認められる可能性が高まります。
■ 専業主婦や学生でも請求できるの?
「働いていないから逸失利益は関係ない」と思われがちですが、実はそうではありません。
専業主婦の場合、家事労働にも経済的価値があるため、「労働能力の喪失」とみなされます。
 そのため、家事が十分にできなくなった場合は、賃金センサスの「女性労働者の平均賃金」を基に逸失利益を計算します。
また学生の場合でも、将来就職する見込みがあると判断されれば、同様に将来の収入を推定して逸失利益が認められるケースがあります。
■ 逸失利益を請求する際の注意点
逸失利益の請求は、非常に専門的な分野です。
 被害者本人だけで手続きを進めると、以下のようなリスクがあります。
- 適正な基礎収入を認めてもらえない
 - 労働能力喪失率を低く見積もられる
 - 将来の期間を短く設定される
 
こうした結果、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。
 そのため、交通事故案件に詳しい弁護士や、後遺障害等級申請のサポートを行う専門機関に相談することをおすすめします。
■ まとめ ― 正しい知識が「損をしない」第一歩
逸失利益は、後遺障害が残った被害者にとって、将来の生活を支える大切な補償です。
 しかし、その金額は「計算の仕方」「認定の有無」「証拠の出し方」で大きく変わります。
もし事故後、体に違和感や不自由が残っている場合は、「もう治療は終わったから…」と諦めず、必ず専門家に相談してみてください。
 後遺障害の認定と逸失利益の請求を正しく行えば、失った将来の収入をきちんと補償してもらうことができます。
交通事故後の人生を取り戻すためにも、「逸失利益」という仕組みを正しく理解し、損をしないように行動していきましょう。
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