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後遺障害と介護認定の関係について解説

交通事故に遭ったあと、「痛みやしびれが残った」「生活が不便になった」といった後遺症に悩む方は少なくありません。しかし、事故によって生じた障害がどのように評価され、どのような制度を使えるのかは分かりにくいものです。

特に多い質問が、
「後遺障害等級と介護認定(要介護・要支援)は関係があるの?」
というもの。

実はこの2つ、どちらも生活に影響する“障害”を評価する制度ですが、目的・基準・審査方法がまったく異なります。誤解して手続きが遅れたり、必要な支援が受けられなかったりするケースも多いため、正しい理解が重要です。

この記事では、後遺障害と介護認定の関係を、専門家の視点からわかりやすく解説します。

1. 後遺障害と介護認定は全く別の制度

まず最初に押さえておくべきポイントは、
後遺障害等級と介護認定は、別の法律・別の目的を持つ制度
だということです。

■ 後遺障害等級とは?

自賠責保険が定める評価制度で、

  • 事故によるケガが治っても残ってしまう症状

  • 労働能力や日常生活動作にどの程度影響するか

を医学的・客観的に評価する仕組みです。

1級~14級まであり、等級に応じて

  • 慰謝料

  • 逸失利益

  • 介護費

などが支払われます。

■ 介護認定(要介護・要支援)とは?

介護保険で定められる認定制度で、

  • 要介護者がどの程度介護サービスを必要としているか

  • 介護度に応じてどんなサービスを利用できるか

を判断します。

要支援1~2、要介護1~5までの7段階です。

■ 同じ「障害」を扱っているように見えるが役割が違う

後遺障害は「損害賠償の基準」、
介護認定は「介護サービスを利用するための基準」。

目的が異なるため、後遺障害等級が高いからといって必ずしも要介護認定が高くなる、というわけではありません。

2. 後遺障害と介護認定に“関連性”はあるのか?

制度としては独立していますが、
実際には「関連が生まれるケース」もあります。

■ ① 後遺障害1~2級は、介護認定が必要になるケースが多い

後遺障害1級・2級は、常時または随時の介護が必要と判断される重度の障害です。

例えば、

  • 脊髄損傷による四肢麻痺

  • 高次脳機能障害

  • 重度の感覚障害
    など。

このレベルでは、食事・入浴・移動などに介助が必要になるため、
後遺障害の等級と介護認定が連動しやすい のが特徴です。

■ ② 後遺障害が中等度(3~7級)の場合はケースバイケース

この層は、

  • 歩行は可能だが支障がある

  • 日常生活はできるが負担が大きい

  • 事故前よりできることが減っている

など、生活への影響はあるものの「介護が必要」とは限らない状態。

そのため、
後遺障害は認定されていても介護認定は“非該当”
ということは珍しくありません。

■ ③ むち打ちや軽度の障害(12~14級)はほとんど関係しない

「痛み」「しびれ」「可動域の制限」などの軽度の後遺障害は、
基本的に介護を必要としないため、介護認定とは結びつきません。

3. なぜ後遺障害と介護認定が一致しないのか?

これには2つの理由があります。

■ 理由1:評価の対象が違う

後遺障害 → 症状の医学的評価
介護認定 → 日常生活の困難度の評価

同じ症状でも、
● リハビリで動けるようになれば → 介護認定は下がる
● 生活に介助が必要なら → 介護認定が上がる
という具合に結果が変わります。

■ 理由2:審査方法がまったく違う

後遺障害では医師の診断が重視されますが、
介護認定は市町村が「生活動作」を中心に審査します。

この違いが「等級は高いのに要介護認定は低い」などのズレを生む原因です。

4. どちらの手続きが先なのか?

結論は、
後遺障害 → 介護認定の順が一般的 です。

理由は、

  • 後遺障害の診断で介護の必要性が明確になる

  • 介護費用の補償が後遺障害等級で決まる

  • 事故後の症状が安定してから介護認定が適切に出る

など。

また、高次脳機能障害や脊髄損傷などの場合、
家族や医療機関と連携しながら同時並行で進めることもあります。

5. 後遺障害と介護認定を受けると使えるサポート

■ 後遺障害で補償されるもの

  • 後遺障害慰謝料

  • 逸失利益(働けない分の補償)

  • 将来の介護費

  • 生活支援の費用

■ 介護認定で使えるサービス

  • ホームヘルパー

  • デイサービス

  • 訪問看護

  • 福祉用具のレンタル

  • 車椅子や手すりの住宅改修の補助

このように、
2つを組み合わせることで社会的サポートの幅が大きく広がります。

6. 事故の後、どのように動けばいい?(重要)

後遺障害と介護認定の双方をスムーズに受けるためには、
次の4つを必ず押さえておきましょう。

① 症状を我慢しない

少しのしびれでも、記録し、医師に伝えることが大切。

② 医師とリハビリスタッフに正確に症状を伝える

後遺障害は医学的証拠が最も重要。

③ 家族や介護者の協力を得る

介護認定は生活状況の情報が多いほど有利。

④ 専門家(医療・弁護士・ケアマネ)の連携

制度をよく知る専門家を入れることで、
認定のズレや手続きの無駄を防げます。

まとめ

後遺障害と介護認定はよく混同されますが、

  • 仕組みも目的も別

  • 評価基準も違う

  • 連動するケースもあるが、必ず一致するわけではない

  • 両方を正しく活用するとサポートの幅が広がる

というのが重要なポイントです。

事故後に不便さや痛みが続く方は、
後遺障害・介護認定の両方を視野に入れながら、
専門家と連携して正しい評価を受けることが、
“安心して生活を取り戻すための第一歩”になります。

 

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