交通事故による後遺障害の等級は、1級から14級まであり、障害の程度によって認定されます。特に7級と8級は中程度の重さの障害に分類され、多くのケースで慰謝料や損害賠償額に大きな影響を与えます。しかし、両者の違いは具体的にどこにあるのでしょうか。本記事では、後遺障害7級と8級の違いを症状・認定基準・慰謝料相場・請求方法の観点から詳しく解説します。
後遺障害7級とは?
後遺障害7級は、中程度~やや重度の障害が残る場合に認定されます。日常生活や仕事に支障が大きく出ることが特徴です。
主な症状の例
- 手足の機能障害
手や指、足や足指に重大な障害が残り、日常生活や仕事で大きな制限が出る場合
例:手の複数の指がほとんど動かせない、足の関節が固まり歩行が困難 - 顔や頭部の重度変形
顔面骨折や神経損傷による変形が残り、外見や表情に大きく影響するケース - 神経系の重大障害
手足の麻痺、しびれ、感覚消失が強く、日常生活の自立に影響する場合
7級は、生活にかなり支障が出るため、通院やリハビリが長期にわたることもあります。
後遺障害8級とは?
8級は7級よりやや軽度の障害が残る場合に認定されます。日常生活に支障は出るものの、7級より制限は少なめです。
主な症状の例
- 手足の機能障害
手指や足指の一部が動かしにくく、作業に支障が出るが、完全に不自由ではない
例:手の指1~2本の可動域制限、足の関節がやや固まる - 顔や頭部の変形
軽度~中等度の変形が残る場合 - 神経症状
しびれや感覚異常があるが、日常生活に完全な支障はない
8級の場合も後遺障害認定は可能ですが、7級より補償額や慰謝料が低くなる傾向があります。
7級と8級の違いをわかりやすく
7級と8級は症状の重さによって区別されます。ポイントは以下の通りです。
| 項目 | 7級 | 8級 |
| 手足の障害 | 複数指や関節に重大な制限 | 一部指や関節に軽度~中等度の制限 |
| 顔・頭部の変形 | 外見や表情に大きな影響 | 軽度~中等度の変形 |
| 神経症状 | 麻痺や感覚消失が強い | しびれや感覚異常があるが日常生活は可能 |
| 日常生活への影響 | 大きく支障が出る | 支障はあるが自立生活可能 |
簡単に言えば、7級は「より生活に支障が大きい障害」、8級は「支障はあるが日常生活は比較的可能な障害」**です。
慰謝料の相場
後遺障害等級は慰謝料や逸失利益の算定に直結します。7級と8級の相場は以下の通りです。
1. 自賠責保険基準
- 7級:約123万円
- 8級:約105万円
2. 任意保険(保険会社)基準
- 7級:約200~250万円
- 8級:約160~200万円
3. 裁判所基準(弁護士基準)
- 7級:約420万円
- 8級:約330万円
裁判基準は、症状の程度や生活への影響をより詳細に評価するため、慰謝料が高額になる傾向があります。
後遺障害認定の手順
7級・8級いずれの場合も、後遺障害認定には一定の手順が必要です。
- 症状固定を確認
医師が「これ以上症状が改善しない」と判断した時点で症状固定となります。 - 後遺障害診断書の作成
医師に症状や検査結果を記載してもらいます。 - 必要書類の提出
診断書や事故証明書、治療記録を揃えて保険会社または自賠責保険に申請します。 - 等級認定
損害保険料率算出機構が書類を審査し、等級を認定します。
慰謝料請求のポイント
- 証拠の整備:診断書・検査結果・事故直後の記録は必須
- 弁護士相談:保険会社との交渉で、より高額な裁判基準に近い額を目指す
- 逸失利益:将来の収入に影響がある場合、後遺障害等級に応じた逸失利益を請求可能
7級はより高額な補償が期待でき、8級も生活に支障がある場合はしっかりと請求することが大切です。
後遺障害7級・8級の生活への影響
- 手や足の機能障害で、仕事や家事に時間がかかる
- 神経症状によるしびれや痛みが継続
- 外見の変化が心理的負担になることも
リハビリや補助具の活用、日常生活の工夫が生活の質を保つために重要です。
まとめ
後遺障害7級と8級は、どちらも中程度の障害ですが、症状の重さや生活への影響の程度で区別されます。7級はより生活に大きな制限があり、8級は支障はあるものの日常生活は可能です。慰謝料や逸失利益も等級に応じて大きく変わるため、症状固定後は医師の診断書を整え、保険会社や弁護士と相談して適切な補償を受けることが大切です。
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