交通事故によるケガの中でも、股関節や膝関節の損傷は日常生活への影響が非常に大きく、後遺障害認定が重要になります。特に、事故をきっかけに人工関節置換術を受けた場合、「どの等級に認定されるのか」「必ず後遺障害になるのか」と不安を抱える方も多いでしょう。
この記事では、股関節・膝関節の人工関節置換術と後遺障害等級の考え方について、分かりやすく解説します。
人工関節置換術とは
人工関節置換術とは、事故や病気によって損傷した関節を取り除き、人工の関節に置き換える手術です。
交通事故では、骨折、軟骨損傷、靱帯損傷などが原因で関節の機能が著しく低下し、保存療法では回復が難しい場合に行われます。
股関節や膝関節は「体重を支える関節」であるため、人工関節になった後も、
- 正座や深くしゃがむ動作ができない
- 長時間歩くと痛みが出る
- 可動域が制限される
といった支障が残ることが少なくありません。
人工関節=必ず後遺障害になる?
結論から言うと、人工関節置換術を受けた場合は、原則として後遺障害認定の対象になります。
自賠責保険では、人工関節が入った関節については「機能障害が残存している」と評価されやすく、可動域の数値に関わらず等級が認定されるケースが多いのが特徴です。
股関節・膝関節の後遺障害等級
人工関節置換術が行われた場合、主に以下の等級が問題になります。
● 後遺障害8級7号
「1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」
人工関節置換術により、
- 関節がほぼ動かない
- 実用的な可動ができない
と判断されると、この8級に認定される可能性があります。
股関節・膝関節の人工関節では、最も代表的な等級です。
● 後遺障害10級11号
「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
人工関節ではあるものの、
- ある程度の可動域が保たれている
- 日常生活は可能だが制限が大きい
と評価された場合に認定されます。
● 後遺障害12級7号
「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
痛みや違和感、軽度の可動域制限が残る場合に該当します。
人工関節の場合でも、症状が比較的軽いと判断されると、この等級になることもあります。
可動域制限だけで判断されない点が重要
人工関節置換術の後遺障害認定では、単純な可動域の数値だけで判断されない点が非常に重要です。
- 人工物が体内に入っている事実
- 将来的な再手術のリスク
- 関節の耐久性や制限
といった要素も総合的に評価されます。そのため、数値上は動いていても、重い等級が認定されるケースもあります。
認定を左右するポイント
適切な等級認定を受けるためには、次の点が重要です。
- 手術内容が診断書に明確に記載されている
- 人工関節であることが画像所見で確認できる
- 痛みや生活上の支障が具体的に説明されている
- 症状固定の時期が適切である
特に、医師の後遺障害診断書の記載内容が結果を大きく左右します。
まとめ
股関節・膝関節の人工関節置換術は、交通事故後の後遺障害認定において非常に重要なポイントです。
原則として後遺障害に該当し、8級・10級・12級が中心となります。
「人工関節を入れたのに等級が低い」「後遺障害が非該当になった」という場合でも、認定の見直しが可能なケースもあります。
専門家に相談し、適切な手続きを行うことが、正当な補償を受けるための第一歩です。
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