交通事故は、誰にでも起こりうる不測の事態です。事故後、幸いにも命に別状はなくても、身体にはさまざまな後遺症が残ることがあります。この後遺症は、一見軽微に見えても、適切に診断・評価されなければ損害賠償や生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。今回は医師の視点から、「後遺障害の見落とし」のリスクについて詳しく解説します。
後遺障害とは何か
交通事故における後遺障害とは、事故によって生じた身体的または精神的な障害が、治療を尽くした後も一定期間以上残ってしまう状態を指します。代表的なものとして、むち打ち症、関節の可動域制限、神経障害、脳損傷による認知障害などが挙げられます。
後遺障害は外見上わかりにくいものも多く、特に神経症状や慢性的な痛み、軽度の脳機能障害は見過ごされやすい特徴があります。医師の診断が遅れると、適切な後遺障害等級認定を受けられず、補償面で不利になるケースも少なくありません。
後遺障害の見落としが起こる原因
- 初期診断の限界
事故直後は痛みが軽度で、検査でも異常が見つからないことがあります。しかし、時間が経つにつれて症状が明確になるケースも少なくありません。医師が「軽症」と判断しても、後日後遺症として残るリスクは十分あります。 - 症状の主観性
むち打ち症や神経痛のような症状は患者の訴えに依存する部分が大きいです。痛みやしびれは数値化が難しく、医師が症状を軽く見積もってしまうことがあります。 - 診察・検査の不足
必要な画像診断(MRIやCT、神経伝導検査など)が行われない場合、骨や関節の異常はもちろん、神経損傷や微細な脳損傷が見落とされる可能性があります。 - 医師の経験不足
交通事故による後遺障害は多様で、症例の少ない医師では判断が難しい場合があります。特に軽度の神経症状や心理的影響は、専門医でないと見逃されることがあります。
見落としを防ぐためのポイント
1. 事故直後の早期受診
事故後は症状が軽くても、必ず病院で診察を受けることが重要です。軽い打撲やむち打ちでも、レントゲンやMRIで異常が確認される場合があります。早期受診は後遺障害認定においても「事故と症状の因果関係」を証明する上で非常に重要です。
2. 症状の記録
痛みやしびれの程度、発生時間、悪化する状況などを日記にまとめておくと、医師に伝えやすくなります。また、医療機関の受診記録や画像検査の結果も保管しておくことが大切です。
3. 複数医師の診断を検討
症状が軽くても長引く場合、整形外科だけでなく、神経内科やリハビリ専門医など複数の専門医に相談することで、見落としを防ぐことができます。
4. 後遺障害診断書の作成時の注意
後遺障害診断書は、損害賠償請求において非常に重要な書類です。医師が記載を簡略化してしまうと、等級認定が低くなる可能性があります。症状や日常生活への影響を具体的に伝えることがポイントです。
よく見落とされる後遺障害の例
- むち打ち症(頚椎捻挫)
レントゲンでは異常がなくても、神経や筋肉の損傷が残ることがあります。慢性的な首の痛みや肩こり、手のしびれは見落とされやすい症状です。 - 頭部外傷・脳震盪
軽度の脳損傷は外見上わかりにくく、頭痛や集中力低下、記憶障害が残ることがあります。これも初期診断では見逃されやすい障害です。 - 関節可動域制限
手首、膝、足首などの関節は、骨折がなくても靭帯や腱の損傷で動かしにくくなることがあります。日常生活への影響が大きいにも関わらず、初期診察で軽視されることがあります。 - 心理的障害(PTSDなど)
事故体験による精神的ダメージも後遺障害の対象となります。しかし、医師や被害者本人が心理症状を軽視してしまうことがあります。
後遺障害の見落としがもたらす影響
後遺障害が見落とされると、損害賠償や慰謝料が適切に受けられないリスクがあります。また、生活の質や就労能力にも影響を与え、長期的に身体的・精神的負担が残る可能性があります。
逆に、早期に正確な診断を受け、症状を記録し、必要に応じて専門医の診断を受けることで、後遺障害認定の等級が正しく評価され、適切な補償を受けられる可能性が高まります。
まとめ
交通事故後の後遺障害は、外見や初期症状からは判断が難しいものが多く、見落とされやすい傾向があります。事故直後の受診、症状の記録、必要に応じた専門医の診断、そして後遺障害診断書への具体的な症状の記載が、見落としを防ぎ、適切な補償を受けるために重要です。
交通事故に遭った場合は、軽症でも油断せず、症状を見逃さないことが、後の生活を守る第一歩になります。医師と被害者が協力し、慎重かつ丁寧に症状を評価することが、後遺障害見落としリスクを最小限にする秘訣です。
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